レインウエアと山岳事故

梅雨入の発表と共にいつも考えさせられる事がある。 「レインウエア」・・・アウトドアなどで寒いときや悪天候時に着用する衣類。(Wikipedia) とある。


 登山用具店で販売されている「レインウエア」のほとんどが降雨中の「ムレ」を解消するために「ゴアテックス」を使用しており、価格も2~3万円台とホームセンターで販売している雨合羽と10倍以上の価格差があります。
防水性能が無い素材
「GORE-TEX」の特徴は体から発生する反射熱、水蒸気を外部に放出し、逆に外部からの水滴を跳ね返えすという優れた特徴が有ります。
 
通常の繊維は防水性能は全然なく雨が降ると「びしょ濡れ」になりますが、空気や水蒸気は良く通します。


 一方、雨合羽などは雨を完全に遮断することは可能ですが、体内から発せられる放射熱や水蒸気をも遮断するため「ムレ」てしまい「自分の汗でびしょ濡れ」になります。


「GORE-TEX」はその「ムレ」を解消するため、「水蒸気や空気」の分子ガ通れるぐらいの超微細な「穴」が無数にあいています。  水の分子は空気や水蒸気の分子よりも大きい為、漏れることはありません。    体内から発せられた汗(水蒸気)や体温で温められた空気はこの穴を通過し体外へ排出されることになり「ムレ」が解消されます。
 「GORE-TEX」は雨に濡れずに「ムレ」ないという優れた特徴を持っていますがその反面 内部の放射熱を奪っしまうということが挙げられます。 レインウェアはあくまでも「雨」のなかで快適に活動が出来るように作られているので「保温性能」は全然有りません。
 2009年7月に北海道トムラウシ山で起こった夏山遭難事故の死亡事故は「低体温症」が原因でした。
死亡した多くの登山者のレインウェアの中は乾いていたと報告されています。いくら北海道とはいえ7月です、 この時期に「ダウン」のインナーを持ち歩いている人はほとんどいません。 寒くなれば「レインウェア」を着るというのは危険な考え方です。 レインウェアで使用している「GORE-TEX」は通常よりも体温を奪っしまう性能があります。だからこそ「蒸れ」なくて濡れないのですが・・。GORE-TEXのレインウェアを着るのであれば「フリース」や「ウール製」「ダウンジャケット」などの保温素材を合わせて着るなど、「低体温症」の対策も必用です。

<降雨時に起こりうる危険>

 山岳事故で一番多いのが天候(雨、雪)によるものです。 晴天時での事故はほとんど起こりません。
事故に遭わない為にはこの「雨や雪」をさけることなのです。 「雪」が降り積もっている中で「登山」する人はほとんどいませんが、「雨」が降っても登山をする人が大勢いることも事実です。
 
沢や河原の増水・・・登山道の遮断や足元が滑り易くなる為の滑落事故、水濡れによる低体温症など
や落雷、霧の発生による遭難など雨による事故は多岐にわたっています。
 「レインウェア」を着用したからといってこれらの「危険」を回避出来ません。 「レインウェア」の目的は「雨」に濡れないということだけです。
 
 梅雨のシーズンが近づくにつれ、登山雑誌は「レインウェア」の重要性をアピールし、毎年高性能の「レインウェア」が登山用品店に溢れますが、雨降り登山の危険性を訴えている「登山雑誌」や「登山用品店」は皆無です。 
 「雨の日は危険なので登山しないようにしましょう。」と言えば「レインウェア」はまるで売れなくなります。

<山の天気は予測できる!>

 「山の天気は変わりやすい」のでレインウェアは必用であるとよく言われますが、天気予報の精度が高まり、携帯やスマートホンで雨雲の動きが確認できるようになった現在では雨を避けて登山することが可能になってきました。 
 「雨に濡れても大丈夫」な登山はありません。 「雨が降れば登山はしない」を心がける事が山岳事故を起こさない秘訣だと私は思っています。
 どんなに高性能な「レインウェア」を身につけても鉄砲水をくい止める事は出来ません。 大自然の中では我々はあまりにも無力だということを理解してください。

<追伸> 
 万が一、「雨に降られた場合」を想定して私は45リッターのゴミ袋をザックの中に入れています。
 雨が降った場合は頭と腕を出せる穴をあけ、「レインウェア」の代用しています。 保温効果もありますが、除湿効果はまるで無いので 汗だくになる可能性はあります。 

 ですが、まだ一度も使用したことがありません。